- 退職金制度を設けたいけど資金力がない
- 退職金を給付するための資金調達が苦しい
- 導入している退職金制度を見直したい
従業員のために退職金制度を設けたいと考えているものの、独力で資金調達することが難しく悩んでいる事業主の人は多いのではないでしょうか。
中小企業退職金共済制度なら、掛金を毎月支払うだけで簡単に退職金を準備できます。
国から助成金が支払われるうえに節税対策にもなるため、財源が少なくても安定した退職金が用意できる仕組みとなっています。
とはいえ会社のお金を投資するわけですから、簡単には決断できませんよね。
ここでは、中小企業退職金共済制度の仕組みや注意点を事業主目線で徹底解説していきます。
この記事でわかること
- 中小企業退職金共済制度は退職金を準備できない中小企業を救済する制度
- 毎月の掛金を支払うだけ!積立や給付は任せっきりでOK
- 掛金月額は経営の都合に合わせて変更できる
- 国からの助成を受けると支払う金額を減額してもらえる
- 退職者が多い企業は掛金が無駄になる可能性がある
中小企業退職金共済制度とは?仕組みを初心者にもわかりやすく解説
中小企業退職金共済制度とは、退職金を独力で準備するのが困難な中小企業向けに設けられた国の退職金制度のことです。
中小企業退職金共済法に基づいて制定されており、退職金制度を確立して従業員の福祉を図ることで中小企業の振興に貢献する狙いがあります。
中小企業退職金共済法とは?
中小企業の退職金制度を確立するために制定された法律。
退職金共済契約を締結する際の規約や支給の対象となる条件などについて定めている。
中小企業退職金共済制度は事業主が中小企業退職金共済事業本部と契約し、毎月の掛け金を支払うことで退職金が積み立てられる仕組みです。
中小企業退職金共済制度を運営している独立行政法人勤労者退職金共済機構中小企業退職金共済事業本部は、厚生労働省の管轄であるため支給率が景気に左右されないのが特徴です。
管理人のアドバイス
銀行などの金融機関で積み立てることもできますが、景気や物価の上昇によって金利が低くなって資金を増やすことが困難になるためおすすめしません。
仮に退職金の財源が不足して銀行から貸付を受けようと思っても、金利が高くなり希望する金額を借りられない可能性もあります。
景気の悪化が資金調達に与える悪影響については、日本銀行の公式ホームページにも以下の記載があります。
金利が上昇すると、金融機関は、以前より高い金利で資金調達しなければならず、企業や個人への貸出においても、金利を引き上げるようになります。
引用元: 日本銀行公式HP
中小企業退職金共済制度なら景気に関係なく資金調達ができるため、加入する企業が毎年増えています。
2019年9月の時点で中小企業退職金共済事業本部が発表している加入企業数と運用資産は、以下のとおりです。
加入している企業 370,692所 加入している従業員 3,512,965人 運用資産額 約4.9兆円 引用元: 中退共 制度の概要
中小企業退職金共済制度の特徴については、以下で詳しく解説していきます。
退職金の準備がとにかく簡単!積み立てから給付まで全て管理してもらえる
中小企業退職金共済制度に加入した場合、毎月の掛け金を支払うだけで計画的に退職金が準備できます。
積み立てた金額や社員への給付状況は全て中小企業退職金共済事業本部に管理してもらえるため、運用に手間がかからず簡単なのが特徴です。
支払った掛け金は積み立てられ、社員が退職する際に中小企業退職金共済事業本部から社員へ支給されます。
常に退職金の財源が確保されている状態になるため、急に社員が退職した場合でも企業側が慌てて資金調達をする必要がありません。
とはいえ、掛け金にあてる資金を捻出すること自体が難しいと感じている人もいるのではないでしょうか。
中小企業退職金共済制度で支払う掛金月額は、収益の都合に合わせて選択できますので安心してください。
掛金月額は1人あたり5,000〜30,000円から自由に選択できる
中小企業退職金共済制度の掛金月額は、1人あたり5,000〜30,000円の間で自由に選択できます。
最低金額の5,000円で設定すれば従業員が100人いても毎月50万円程度の支出で済むため、企業の利益を圧迫しません。
さらに設定した掛金月額はいつでも増額でき、従業員ごとに変更することも可能です。
管理人のアドバイス
例えば入社1年目の社員は5,000円、20年目の社員は30,000円というような設定にすると福利厚生の充実に繋がり、社員の「定年まで働こう」という気持ちが増進できます。
パートやアルバイトなどの非正規雇用社員は特例掛金月額が適用されますので、正社員よりも少額の2,000円〜4,000円から掛金月額の設定が可能です。
ただし、1週間の所定労働時間が30時間を超える非正規雇用社員は特例掛金月額が適用されません。
1週間の所定労働時間が30時間の場合は少額の掛金月額で加入できるため、パートやアルバイトの退職金を準備しておきたい事業主に最適です。
とはいえ、なるべく支出を抑えたい人もいますよね。
中小企業退職金共済制度は中小企業を支援する目的があるため、国からの助成を受けられます。
国が助成してくれるから掛金月額を50%減額することも可能
中小企業退職金共済制度は掛金助成制度の対象となるため、企業によっては月額を50%減額することも可能です。
掛金助成制度は現金を支給してもらえるのではなく、掛金月額から助成額を控除した金額が口座振替される方法となっています。
掛金助成制度には2種類あり、減額される金額や対象外となるケースが異なります。
控除額や対象外となるケースについては、以下で解説していきますので参考にしてください。
新規加入掛金助成は初回加入の事業主に適用される
新規加入掛金助成は、中小企業退職金共済制度に新たに加入する事業主に適用される掛金助成制度です。
加入後4ヶ月目から1年間、掛金月額の半分を助成してもらえます。
さらに非正規雇用社員が中小企業退職金共済制度に加入している企業は、新規加入助成で控除された金額に上乗せして減額されます。
上乗せして免除される金額は、以下で表にまとめてありますので参考にしてください。
特例掛金月額 | 助成月額 |
---|---|
2,000円 | 200円 |
3,000円 | 300円 |
4,000円 | 400円 |
新規加入掛金助成が適用された場合、従業員ひとりあたりの掛金月額が最大2,900円も免除されます。
ただし以下に該当する事業主は、新規加入助成の対象外となりますので注意してください。
- 掛金月額を5,000円に設定している
- 初回加入ではない
- 同居の親族のみを雇用している場合
- 解散存続厚生年金基金から資産移換をする場合
- 企業年金から資産移換をする目的がある
- 中退共から企業年金へ移換する目的で新たに契約し、非共済者全員が契約解除をする場合
- 社会福祉施設職員等退職金手当共済制度に加入している
- 特定退職金共済事業を廃止した団体から資産の引き渡しを行う場合
新規加入助成の対象外でも、掛け金の増額をする場合は他の助成を受けられるケースがあります。
掛金を増額する事業主を援助してくれる月額変更(増額)助成
月額変更(増額)助成は、加入後に掛金月額の増額をする事業主に適用される掛金助成制度です。
18,000円以下の掛金月額を増額する際に、差額の3分の1を1年間助成してもらえます。
例えば掛金月額を15,000円から18,000円に増額した場合、控除額は差額の3分の1である1,000円となります。
ただし、同居の親族のみを雇用している場合は月額変更(増額)助成の対象外となりますので注意が必要です。
親族のみを雇用している事業主の人は、他の共済制度を利用するのもひとつの手段です。
掛け金は非課税!税金免除の特典で事業主も従業員も節税できる
中小企業退職金共済に加入した場合、掛け金にかかる税金を免除してもらえます。
掛金は損金や必要経費として計上でき、非課税となるため節税したい事業主には最適です。
節税できる金額は、企業の法人税や掛金によって異なります。
年間で節税できる金額は、以下でシミュレーションしていますので参考にしてください。
法人税が30%の場合の節税金額
掛金総額(年間) | 節税金額(年間) |
---|---|
5,000,000円 | 1,500,000円 |
10,000,000円 | 3,000,000円 |
20,000,000円 | 6,000,000円 |
30,000,000円 | 9,000,000円 |
40,000,000円 | 12,000,000円 |
50,000,000円 | 15,000,000円 |
税金免除の特典は、事業主だけでなく従業員も受けられます。
退職金を受け取った従業員は、退職所得控除の対象となるため所得税が控除されます。
退職所得控除の対象について国税庁の公式ホームページに記載されている内容は、以下のとおりです。
退職金は、長年の勤労に対する報償的給与として一時に支払られるものであることなどから、退職所得控除を設けたり、他の所得と分離して課税されるなど、税負担が軽くなるよう配慮されています。
引用元: 国税庁 公式HP
ただし控除の対象となるのは退職金を一時金で受け取った人のみであり、分割退職金を選択した場合は税法に基づいて源泉徴収されますので注意してください。
退職金制度との違いは?どちらを導入するべき?
中小企業退職金共済制度の仕組みを知ったうえで、退職金制度とどちらを導入するべきか悩む人は多いのではないでしょうか。
中小企業退職金共済制度と退職金制度の大きな違いは、積み立てたお金が会社の経営に左右されるかどうかです。
例えば中小企業退職金共済制度の場合は積み立てた資金を中小企業退職金共済事業本部が管理しているため、会社の経営が傾いても退職金が保全されます。
一方で退職金制度は、会社が倒産した場合に従業員へ退職金を支払えなくなるリスクがあります。
独立行政法人労働者健康福祉機構に未払いの賃金を立て替えてもらう方法もありますが、借金が増えてしまうためおすすめできません。
中小企業は大手企業よりも倒産する可能性が高いことから、中小企業退職金共済制度に加入するほうが賢明といえます。
細かい違いについては、以下で表にまとめてありますので参考にしてください。
中小企業退職金共済制度 | 退職金制度 | |
---|---|---|
給付金額 | 著しく多くはないが安定している | 多いが会社の利益によって左右される |
国からの助成 | あり | なし |
資金の運用元 | 中小企業退職金共済事業本部 | 自社 |
倒産した場合 | 支給される | 支給できない可能性がある |
中小企業退職金共済制度と退職金制度はどちらも高額のお金を運用しますので、急いで決める必要はありません。
メリットや違いを踏まえたうえで、ゆっくり検討しましょう。
管理人のアドバイス
転職サイトや転職アプリの求人情報では、中小企業退職金共済制度に加入していることを明記している企業をよく見かけます。
最近では高額の退職金よりも、支給が保全されていることに注目して求人を探す転職者もいるようです。
従業員に給付される金額はいくら?支給額をシミュレーション
中小企業退職金共済制度は退職金が保全されているとはいえ、従業員への給付金額はいくらになるのか気になりますよね。
退職金の内訳は基本退職金と付加退職金を合算したものとなっており、掛金月額と納付月数によって異なります。
基本退職金とは?
中小企業退職金共済事業本部によって掛金月額と納付月数に応じて設定されている金額をもとに給付される退職金。
付加退職金とは?
掛金納付月数の43ヶ月目以降、12ヶ月ごとに基本退職金の総額に厚生労働大臣が定めた支給率を乗じて算出した退職金。
支給率は2018年が0.0044%、2019年が0%となっている。
退職金は掛け金を支払い始めた1年後から給付が可能になりますが、11ヶ月以内に従業員が退職した場合は支給されません。
掛け金を1年以上納付していても、加入してから2年以内に従業員が退職した場合は給付される退職金が元本割れします。
なぜなら、勤続年数が長い人のほうが退職金の支給額が高くなるように設定されているからです。
従業員が受け取る退職金を掛金総額よりも多くしたい場合は、最低でも4年は中小企業退職金共済制度に加入している必要があります。
4年以上加入する場合は利息が加算されるため、退職金の給付額が掛け金総額を上回ります。
掛金月額と納付月数ごとの給付金額は、以下でシミュレーションしていますので参考にしてください。
11ヶ月以下 | 1年納付 | 2年納付 | 3年納付 | 4年納付 | 5年納付 | 10年納付 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
月額5,000円 | 支給なし | 18,000円 | 120,000円 | 180,000円 | 240,850円 | 304,100円 | 632,800円 |
月額10,000円 | 支給なし | 36,000円 | 240,000円 | 360,000円 | 481,700円 | 608,200円 | 1,265,600円 |
月額20,000円 | 支給なし | 72,000円 | 480,000円 | 720,000円 | 963,400円 | 1,216,400円 | 2,531,200円 | 月額30,000円 | 支給なし | 108,000円 | 720,000円 | 1,080,000円 | 1,445,100円 | 1,824,600円 | 3,796,800円 |
掛け金が少ないほど社員への給付額は少なくなるものの2年目以降はまとまった金額になりますので、無理なく積み立てたい人には最適です。
ただし中小企業退職金共済には加入条件がありますので、あらかじめ把握しておきましょう。
加入の条件は常用人数と出資金が基準値を満たしていること
中小企業退職金共済に加入する条件は、常用人数と出資金が基準値を満たしていることです。
常用人数と出資金の基準値は、業種によって異なります。
業種ごとの基準値については、以下で表にまとめてありますので参考にしてください。
業種 | 条件 |
---|---|
一般業種(製造業、建設業等) | 常用従業員数300人以下または資本金や出資金が3億円以下 |
卸売業 | 常用従業員数100人以下または資本金や出資金が1億円以下 |
サービス業 | 常用従業員数100人以下または資本金や出資金が5千万円以下 |
小売業 | 常用従業員数50人以下または資本金や出資金が5千万円以下 |
中小企業退職金共済には、常用人数と出資金の他にも共通している加入条件があります。
共通している加入条件は、以下で解説していきます。
従業員全員が加入すること
中小企業退職金共済制度を導入するには、雇用している従業員全員が中小企業退職金共済に加入する必要があります。
中小企業退職金共済へ加入する人数を自由にしてしまうと、退職金の有無による差別が社内で意図的におこってしまうからです。
とはいえ、全員分の掛金を支払うのが苦しい企業もありますよね。
以下に該当する従業員は、加入が免除されますので安心してください。
- 短期雇用の従業員
- 試用期間中の従業員
- 短時間労働者
- 休職期間中の社員
- 定年などで相当の期間内に退職する社員
個人事業主本人や役員は加入できない
中小企業退職金共済制度はあくまでも従業員の退職金を保証するための制度であるため、個人事業主本人や役員は加入できません。
しかし役員なら他の従業員と同じように労働していて給与の計算方法も同一の場合に限り、加入できるケースがあります。
役員の加入条件については、中小企業退職金共済事業本部の公式ホームページにも記載されています。
役員のうち支店長、工場長、部長等使用人としての職制上の地位を有し、常時使用人としての職務に従事する者であり、従業員として賃金の支給を受けている等の実態があれば、そのまま契約を継続することができます。
引用元: 中退共 Q&A
ただしタイムカードや評価の基準など、他の従業員と同じ扱いを受けている証拠を厳しく確認されますので注意してください。
平社員から役員へ昇格する場合は、解約して退職金を受け取っておきましょう。
個人で加入することはできない
中小企業退職金共済制度は企業単位であれば加入できますが、個人の場合は対象外となってしまいます。
なぜなら、中小企業の退職金を確立するための制度だからです。
従業員全員の掛け金を支払うのが苦しい場合は、企業年金を検討してみてはいかがでしょうか。
企業年金は社員が任意で加入する制度のため、事業主が従業員全員の掛け金を負担する必要がありません。
とはいえ、企業年金って老後に受け取る制度なのではと疑問に思う人もいますよね。
企業年金は退職時に一時金で受け取ることができることから、退職金制度として導入する企業が増えています。
特定業種退職金共済制度に加入している人は対象外となる
特定業種退職金共済制度に加入している建設業や清酒製造業、林業などといった業種の人は、中小企業退職金共済制度の対象外となります。
企業としては両制度に加入できますが、従業員は2種類の退職金共済制度に加入することはできません。
退職金共済制度の併用については、中小企業退職金共済事業本部の公式ホームページにも以下の記載があります。
中小企業退職金共済法に基づく特定業種(建設業・清酒製造業・林業)退職金共済制度には企業として両制度に加入はできますが、同一の従業員が両制度に加入することはできません。
引用元: 中小企業退職金共済事業本部公式HP
中小企業退職金共済制度に加入したい場合は、特定業種退職金共済制度を解約してから申し込みましょう。
ただし、特定業種退職金共済制度に加入したばかりの場合は解約しても退職金が支払われませんので注意してください。
導入する人が知っておくべき3つの注意点!思わぬ落とし穴に注意
中小企業退職金共済制度は独力で退職金を準備できない中小企業を救済する制度ではあるものの、メリットばかりではありません。
むやみに導入してもかえって損をしてしまうリスクがありますので、注意点を把握したうえでよく考えてから導入しましょう。
中小企業退職金共済制度を導入する注意点は、以下の3つです。
- 掛金月額の出費が痛い
- 社員が早期退職すると掛金が無駄になる
- 退職金を減額しても中退共が得するだけ
それぞれの注意点については、以下で解説していきます。
利益が少ない月は掛金の支払いが辛い
掛金月額は自由に選択できるとはいえ、利益が少ないシーズンになると支払いが苦しくなるケースがあります。
掛金月額の下限は5,000円となっており、50人規模の会社でも最低25万円は毎月支払うことになるからです。
毎年利益が少なくなるシーズンがある場合は、消費者金融の事業者ローンを利用してみるのもひとつの手段です。
消費者金融なら銀行などの金融機関よりも前向きに融資してもらえるため、多くの個人事業主が利用しています。
事業者ローンを検討したい人は、下記でおすすめの消費者金融を紹介していますのでぜひ参考にしてください。
導入してから1年以内に退職されると掛金が無駄になる
中小企業退職金共済制度を導入してから1年以内に社員が退職した場合、積み立てた掛金は全て無駄になってしまいます。
掛金を支払い始めて1年間は、退職金が給付されないからです。
積み立てた掛け金は長期労働者の退職金にあてる資金として中小企業退職共済本部に運用されるため、事業主の手元には返ってきません。
そのため、退職率が高い企業には向いていないといえます。
退職金の給付を減額しても事業主には返ってこない
従業員の雇用規約違反などにより退職金を減額した場合、積み立てた掛金の差額は事業主の手元には返金されません。
なぜなら、支払った掛金は退職金にあてる資金として中小企業退職金共済事業本部が運用しているからです。
退職金の減額をしても中小企業退職金共済事業本部が得するだけのため、素行の悪い従業員が多いと感じている事業主には向いていません。
それでも加入したい人は、以下で手続き方法を解説していますので参考にしてください。
中小企業退職金共済制度の手続き方法は簡単!50代の事業主でもすぐに実行できる
中小企業退職金共済制度を導入する際の手続きは、とにかく簡単なのが特徴です。
管理人の父は100人規模の会社で個人事業主として務めていますが、50代であるにも関わらず事務員の手を借りずに自分で手続きできていました。
手続きには2種類あり、新規加入と追加加入で異なります。
それぞれの加入方法については、以下で解説していきます。
新規加入の手続きはたったの6ステップで完了する簡易申し込み
国の制度を利用すると申し込みが面倒くさそうと感じる人もいると思いますが、中小企業退職金共済制度は新規加入でも6ステップで手続きが完了します。
手続きの具体的な流れは、以下を参考にしてください。
step
1 従業員全員に同意をもらう
中小企業退職金共済制度は、社員全員が中小企業退職金共済事業本部へ加入することに対して同意していなければ導入できません。
step
2商工会議所または委託事業団体へ導入したい旨を伝える
中小企業退職金共済制度は、商工会議所またはみずほ銀行や三菱UFJ銀行などといった金融機関で申し込めます。
step
3掛金月額を選択する
掛金月額を従業員ごとに選択します。
step
4必要書類の記入
退職金共済契約申込書に企業名や加入させる従業員の名前を記入して、押印する。
step
5必要書類を提出する
新規加入の場合、登記簿抄本などといった中小企業者であることを証明する書類が必要になる場合があります。
step
6契約完了
契約が完了すると、中小企業退職金共済事業本部から従業員ごとの退職金共済手帳が送付されます。
中小企業退職金共済制度は近くの金融機関で申し込めるため、気軽に手続きできるのが特徴です。
新しい社員が増えた場合に追加で加入する手続き方法
中小企業退職金共済制度は社員全員が加入することを条件としているため、新しい社員が入社した場合は追加加入をする必要があります。
追加加入の手続き自体は、新規加入時とほとんど変わりありません。
ただし、追加加入する場合でも社員の同意を得なくてはいけないため注意が必要です。
追加加入の場合は申込書が異なりますので、手続きの際は必ず商工会議所または金融機関の担当者に追加で加入する旨を申し出ましょう。
従業員に退職金を用意してあげたい事業主は中小企業退職金共済制度を導入するほうが賢明
従業員に退職金を用意してあげたい事業主は、計画的に資金を積み立てられる中小企業退職金共済制度を導入しましょう。
中小企業退職金共済制度は、中小企業の退職金を確立するために援助をしてくれる国の制度です。
安定した利益を見込めない中小企業の事業主でも、助成を受けることで無理なく退職金を積み立てられます。
退職金制度は大手企業であれば独力で導入できますが、資金力のない中小企業は利益が圧迫される恐れがあります。
そのため、中小企業は退職金制度よりも中小企業退職金共済制度を導入するほうが賢明です。
中小企業退職金共済制度なら加入年数が長いほど積み立てた資金よりも高額の退職金が給付されますので、ぜひ導入してみてはいかがでしょうか。